―第四章―
【ダブル・リンチ】
ザバァァァーーッッッ!!!
水をぶっかけられ目が覚めた。目を開けるとそこには、
「「ぐああっ!げほぉっ!…ふうっ!!」
両手を鉄の鎖につながれ、何人ものガタイのいいマッチョの男達にリンチにあって変わり果てた内藤先輩の姿があった。

内藤はそのゴツゴツに鍛え上げた肉体をむき出しにして、何人もいる男たちに交替にパンチや蹴りを打ち込まれていく。
その度に先輩からもれるうめき声…。男らしいぜ…。興奮しきった男たちはこのリンチを楽しみ、すでにもう内藤はサンドバッグ扱いにされてる。
「先輩!」
健二は内藤を助けようと思ったが、自分も手錠につながれて動けない。

丁度、万歳をした格好だ。ガチャリと音を立ててびくともしない。足にも鎖があり、せいぜい10cmくらいしか動かない。

「やっと起きたか…」
目の前にマサトがいた。さっきまでの上半身裸ではなく、ジーパンに袖のない真っ白いシャツを着ている。

白いシャツがヤツの、日に焼けた肌を際立たせた。相変わらず太い腕だ…。
「お前…!ここはどこだ」
「…俺たち組織の、地下拷問室だ」

「拷問…?」
「ぐあっ!!はあ、はぁぁ、くっ!!…はぁはぁ…うっ……うぅっ!!!」
「先輩!お前等、何がしたいんだ!」
「…お前ら、組織のファイターに入らないか?」
「?喧嘩屋の?」
「おぅ、話が早いな。そうだ、うちのファイターとして戦う気はねぇか?」
「ふざけんな」
その時、
「俺たちは別に頼んでる訳じゃねえ。俺たちに逆らうな!」
「兄貴!」
マサトの後ろにいきなり竹原アキラが現れた。相変わらず……デカイ!!!
「はあ…はぁ…」
「どうだ、コゾウ。お前の先輩がぶっ壊されっぞ」
「…」
「健二、こいつ等の言うことを聞くな!…はぁはぁ…この組織で戦う事は……ぐぼっ!!」
「うるせえ!」
ガタイのいい男の一人が内藤のボディを突き上げる!!!
「うおおお…」
「もうお前等は逃げられねぇんだよ」
と、マサト。
「ちょっとお仕置きの時間だな、体で分からせてやらねーと」
「誰がお前等の言いなりになっ……!」
ドスーンッッッッッッッ!!!!!!
「ゲボボオオオォォォォーーーー!!!!!」
格闘教官・アキラの太い丸太の様なぶっとい二の腕が内藤のゴツゴツの腹筋にめり込む!!!
それにしても太い、内藤やマサトもかなりマッチョなガタイのはずなのに、
軍曹アキラと比べると一回りも二回りもデカイ!
あまりの太さに、二頭筋が腕ではなく他のモノに見えるくらいだ。
「…気は変わったか?」
「はふぅっ!…ひっひっ、ウゥ…んんんんー!」
「オメエがうんと言わねえと、このリンチはいつまでも続くぞ」
と、マサトは健二を脅した。健二は今起こった事を見て背筋が凍った…。心の中で、
(な…。な、な…。なんてパンチだ……す、っげえ、ケタハズレだ…)
そしてまたガタイのいい男たちは順番に内藤をボコボコにし始めた。
ズシィン!ドボッ!ズド!!ドボ!バキィッ!バスン!ズム!ズムゥッ!ドスン!バスンッ!!
腹!アゴ!腹、顔面!顔面、腹!アゴ!腹!ヒザからのボディ!ボディー!ボディーーー!!!
(…俺が断り続ければ、先輩はもっと殴られる…)
「うげぇ…!!はっはぅぅ……っ、げ…げほぉ……!!!!」
「……わ、わかった。言う通りにしよう。だから、これ以上、先輩に手ぇ出すな」
「よし。おい、やめろ」
「うっす」
ガタイいいマッチョな男たちは殴るのをやめた。
「今度はお前だ、内藤。このコゾウを死なせたくなかったら、俺たちの組織に入れ。
それともお前も変な意地を張って大事な後輩の腹をボコボコに壊されてえのか?」
「…はふぅ…はあはぁ……くっ…わかった。…言う通りにしよう。だから健二には…」
「おいおい、物分かりが良すぎるな!それじゃあうちの若ぇのが満足できねぇ。悪ぃが遊ばせてもらうぜ」
「テメェ!おい、約束が違ぇぞ!!」
「さあて、俺もちっと体動かすか。最近運動不足だからなぁ…」
「おい!」

ドドボボボオオォォッッッッ!!!!!
「……ーーーぅっっっ!!!!」
アキラは健二のボディを突き上げた!!!
「おう、いい声だ。かわいいじゃねえか。だがボディの鍛え方が足りねえなあ……あとはお前達でやれ」
「ウス」
(な、なな、なんてパンチだあーーっ!)
「げぼぉーーっ!」
ドス!ボスッ!バキ!!ズゥン!ボグッ!
そして俺は当分の間、痛め付けられた。
見知らぬバルクパンパンのガチガチマッスル達に。
一発一発がずしんずしん!と重いパンチだったが、一番始めのアキラのボディアッパーが最高に効いた。
(じ…地獄だ)
腹を責められてもかばう事もおさえる事もできない。
今は結局奴らの言う通りにするしか無い。
健二はそこからどうなったか記憶が無い。おそらく気絶してからも殴られ続け、どこかの部屋に運ばれたのか。
朝がきた。その日から、健二と内藤は別々にプロの喧嘩屋としてトレーニングさせられた。
奴らの組織の闇ファイトのリングで戦うために。奴らの財力は凄まじいものだった。
世界中から集めた何百人もの格闘家たちを最高の設備で育てているのだ。
健二は下手に逆らうと、先輩を人質にとられて脅されると考え、奴らに逆らわなかった。
そして二人は別々にさせられた。
(逃げることはできない。先輩のために…)
トレーニングは超ハードだった。毎朝夜明け前に起床して、重りを付けて何十kmも走る。

重りは背中にデカイ砂袋と体中に鉛の重り。全部で30kgくらいだ。
ロードワークが終わると、さらに筋肉を痛め付けるように、マシンジムで鍛える。
それから腹を金属バットで叩かれたり、スパーの名目でマッチョのボクサー達にボコボコのリンチにされる。一人終わっても…。

「兄ちゃん、次はオレが相手や」
また次々とプロ顔負けの裏社会の格闘家が出てくる。
ズムッッッ!!
まさに地獄だった。
メシは食わせてくれたが、肉や玉子ばかり、健二は食ってはトレーナー・マサトのボディ打ちの鍛練でゲロっていた。
しかし残す事もできない。メシを食っては吐いてた。

日に日にトレーニングは厳しくなり、へこたれたり、文句を言うとマサトのヒザ蹴りが飛んだ。
ボグッ!ズドッドフッ!!
まさにそれは鍛錬ではなく拷問だった。
そしてそんな地獄が三週間続き、とうとう喧嘩屋として闘う日が来た!マサトから説明があり、
「相手は、ボクシング元世界バンダム級第三位。瀬川リョウ、学生時代にラグビーをしていたらしく、かなりの有名選手だったらしい。
奴の得意はタックルだ。闇ファイトでは普通のボクシングと違い、奴の得意とする技はタックルからの頭突きのボディブローらしい。
敵をコーナーポストに追い詰め、ボコボコの貼り付け状態にした時にノーガードのどてっ腹に…!
この技で何人も病院送りにさせたそうだ。
それから、いいか?もし下手な素振りを見せたり、負けたりでもしたら、お前の相棒の命は無いからな」
「……」
(先輩の命がかかってる。何としても勝たなくては!)
←三章へ
→五章へ
|
|